日本を代表するトップ・ギタリストのChar。彼が長年思い描き続けた“理想のアンプ”を具現化した製品、“Pyramid Amp”が誕生した。ひと目でわかる超個性的な“ピラミッド型”の筐体は、観る者を釘付けにする圧倒的存在感を放っている。
このアンプが開発されるきっかけとなったのは、Charがハンド・ドローイングで描いた1枚のイメージ図だった。卓上アンプとしても使用できる小さなピラミッド型のヘッドに台形のスピーカー・ユニットを組み合わせることで、ひとつの巨大なピラミッド型のスタック・アンプになるという奇抜なアイデア───Charは、このアンプの構想を40年以上前から温めていたという。
“Pyramid Ampは、JOHNNY, LOUIS & CHAR(以下JLC)をやっていた頃に思いついたアイデアなんだ。『Tricycle』(1980年)というアルバムを作った時に、3という数字にこだわってみようと思ったのがきっかけだね。JLCはトリオ・バンドだし、アルバムの名前も“Tricycle(三輪車)”だし。なので、俺とマーちゃん(ルイズルイス加部/b)のバックに三角形のピラミッド型のアンプが置いてあったらカッコいいんじゃないかなって思いついたんだよ。ただ、当時は製作するための技術面やコストといった問題があって実現しなかった。それから40年以上が経ち、さまざまなテクノロジーが発達した現代になったことで、長い間、自分の頭の中で夢想してきたアイデアを具現化することができた。俺にとってPyramid Ampが完成したことは、長年の夢が叶った瞬間だったね”。
Pyramid Ampの存在が広く知られるきっかけとなったのは、2022年を締めくくる『第73回NHK紅白歌合戦』だった。“桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎”というスペシャル・ユニットの一員として「時代遅れのRock'n'Roll Band」を披露した際、ステージ上でひと際大きな存在感を放つPyramid Ampの姿を目にした人々が、“あれはなんだ? ひょっとして……アンプ?”とSNSで大きな話題を呼んだことも記憶に新しいことだろう。
“紅白に出演するとき、スタジオにPyramid Ampを持ち込んだんだけど、アンプの前に人だかりができていたんだよ(笑)。そんな光景を目にしたのは初めてのことだったね。みんなの顔が驚きに満ちた表情で、すごく興味津々だった”。
待望のプロトタイプが完成すると、Pyramid AmpはCharのリハーサル現場に持ち込まれ、ライブを想定した爆音のバンド・サウンドの中で長年愛用しているMatchless Super Chief 120と弾き比べながら、何度もアンプ・サウンドをチューニングしていったという。
“俺が一番信じられるのは自分の耳なんだ。だからこそ実戦に最も近い環境であるバンドセットのリハーサルに持ち込んで、いろんな曲をMatchlessと比較しながら、自分が納得するまで音を作り込んでいった。ずっと使ってきたアンプと比べることで、演奏する上で重要な「音の抜け方」や「歌とギターのバランス感」といった部分に関して、一番音の違いを感じられるからね。その中でも特に、曲の中で一番多く弾いているカッティングやバッキングといったリズム・プレイの音に関してはこだわったよ。俺の場合、ギター本体のボリュームを調整して音色を細かく調整するし、1曲の中でクリーンな音色からハードな歪みまで使い分けることも多いから、右手のダイナミクスに追従してもらわないと困るんだよね。加えてリードを弾くときは、パワフルに音が抜けてきてほしい。そういった自分の中の感覚的な部分を設計者と共有して、アンプを作り上げていくのは刺激的で楽しい作業だったよ。やっぱり製品化するからには多くの人に使ってもらいたいからね。ましてや自分が使うアンプだから、クオリティに妥協することは一切なかった”。
ハンドワイヤード真空管アンプであるPyramid Ampのスペック面で注目したいのは、独立した卓上アンプとして使用することができるヘッド部分だ。プリ部には12AX7×2、パワー部にはクラスDのソリッドステート回路を採用しており、ピラミッドの両側面にはEminence製ALPHA4-8という4インチ・スピーカー・ユニットを2基搭載。小口径ながらレンジが広く、レスポンスにも優れているため、卓上アンプとして素晴らしいギター・サウンドを響かせる1台に仕上がっている。また、パネル背面にはAUDIO端子が用意されているため、音楽プレーヤーなどの再生機器を接続すればオーディオ・アンプとして使用することも可能だ。お気に入りの音源を流しながら、それに合わせてセッションするといった使い方ができるのもユーザーにとってうれしいポイントのひとつだろう。他にも、ブライト・スイッチの搭載、リバーブやコーラス、ディレイといった空間系エフェクトを活用できるエフェクターのセンド/リターン端子も付いているため、プレイヤーの表現に合わせた表情豊かな音作りを楽しむことができる。
エレクトリック・ギターの誕生から約80年───稀代のギタリストであるCharの自由な創造性を具現化し、新たな価値と存在意義を提示してみせたPyramid Amp。他のアンプとは一線を画す圧倒的な個性から生み出される魅力的なサウンドをぜひ体感してほしい。
“Pyramid Ampは、海外の楽器ショウに出したら絶対に世界中で大きな話題を呼ぶと思う。それほど何物にも変え難い個性的な魅力が、Pyramid Ampには宿っていると感じているよ。見た目からして……ひと味違うフレーズが弾けそうじゃない(笑)? 当たり前の話だけど、エレキ・ギターという楽器はアンプがないと始まらない。多くの人に、これまでに存在しなかった新しい機材を使うことで生まれてくるおもしろいアイデアを楽しんでもらいたいね”。
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