この人が世に出てきたとき、私は、躍り上がるほど嬉しく思いました。簡単に言えば、よくてもB面にしかなれなかった楽曲が、A面になった。そんな印象を受けたからです。振り返ってみると、日本のポピュラー音楽は新しすぎるモノを拒んできました。たとえば、デビュー当時の私は、そのジレンマと戦わざる得ない毎日だったのです。そして、勝てなかった。だから、彼の登場は、音楽家としての自分の生き方が間違っていないと思わせてくれました。痛快に「これでいいのだ」と、自分自身と周囲の人たちを納得させた最初のアーティストと言えるでしょう。その彼が書いてきたのは、教えられ、教えていける、未来が楽しみな楽曲。私の心のなかにある毎日とその行く末を予見されてしまったようです。
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